さすらいの中年シューターさんより

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イチローさん
 遅ればせながらTactical Life拝見しました。業務多忙の中、ブログを管理するのは、大変なこととお察しします。それでも、インターネットを通じてイチローさんとコミュニケイトできる場が提供されるのはとても素晴らしいことだと思います。
 イチローさんのブログ記事を拝見し、ハタと考えてしまいました。
「自分の人生をドライブする」、自分自身を振り返ると、本当に自分の人生、1回きりの人生を自分でドライブしているのだろうかと。
 確かに、サラリーマン(公務員も立派な?サラリーマンですよね。)として、寄らば大樹の陰で1個の歯車で存在していれば、とりあえず今の生活は維持できます。でも本当に自分がやりたいこと、自分の生き方(これが自分の生き方というものが明確になっているわけではないのですが)を殺してまで、現在の安穏とした生活と引き替えにする価値があるのか。自問自答してしまいます。
 こんな当たり前のことにようやく気がついたのかと恐ろしくなってしまいます。人間、知らない又は気がつかない振りをしている方が幸せなことってあるのですね。いや、本当はもっと昔から気がついていたのです。中学生の頃にイチローさんのレポートを拝見した時から。それから今まで、自分をだまし続けてきてしまったのです。
確かに、自衛隊では多種多様で貴重な経験をさせてもらったと感謝しています。また、高卒でぺーぺーとして入隊した私が幹部にさせてもらったこともありがたいことと思っています。しかし、自衛隊勤務も終盤を迎える時期にさしかかり、「本当にこんな所でこんなことをしていていいのか」と考えてしまいます。
 こんな年になって何を言っているのだとささやく声もあります。また、組織を離れて、小舟で荒れた大海に乗り出すには、あまりにも遅すぎるかとも思います。
でも、やはり、いまわの際で「自分の生き方を大切にしたかった。本当にやりたいことを追求すれば良かった」と後悔したくないと、強く感じています。
 先ほども言いましたが、自衛官としてはかなり珍しい経験をさせてもらいました。これは私が望んでいたことがほぼすべてかなったためです。言い換えれば、自衛隊における私のピークは過ぎたのではないのかということです。定年退職までしがみついていれば1000万円くらいの退職金がもらえます。でも、あと数年間も自分を殺し続けていいのか、本当に遅すぎたと悔やんでも悔やみきれないことになるのではないかと、この思いが日々強くなっています。
 イチローさんもすでにお気づきのように、私が所属する組織って末期症状を呈していますよね。
 今の私は、毎日が、と殺場へひきずりだされる豚や牛の気持ちです。この状態が続けば、私の心が壊れてしまいそうです。苦しさから逃れるだけの「逃げ」なのかもしれません。でも精神が死んでしまう前に何とかしなければと切に感じています。
お忙しい中、私の愚痴のために貴重な時間を割いて頂いて申し訳ありません。
追伸:ヒゲをはやしたいのですが、はやしていません。理由ですか?「ひげをはやす場合は、上司の許可を得なければならない」からです。なかなかのpunch lineですね(笑)。
さすらいの中年シューターより


さすらいを止めた老年シューターの返事

「日本に国家的な危機があれば、命を投げ出して敵と戦う。その時を想定して真剣に訓練をする」 といったミリタリーの原点を感じて頑張っている多くの陸曹たちと、

「軟弱な精神しかなくて、出世が一番大切で学ぶということを知らず、部下たちから嫌われていることすら判っていない大勢の幹部たち」

この二つのタイプ、そして、

「国の将来を想い、自分たちの訓練は実戦には向かないのでなんとかしなければならない」

と悩んでいる少数の幹部。

だいたい、自衛官は以上のどれかにあてはまるのではないかと考えています。

もちろん、すっごいダメな新兵や、武士の風上にもおけない陸曹もいますが、それらは例外と想っています。

ロクデナシな中隊長や連隊長が赴任してきたために陸曹たちは (ヤツラの) 2年間の任期が切れるまで姿勢を低くして耐えているという現場は随分と観てきました。

察するところ、サスライさんは組織を良くしようと決心し、下から叩き上げて幹部となり、現実の組織のバカさ加減にいよいよ腹を据えかねている人かと想います。国を想い、陸曹たちを想い、独りして悩んでしまうという、自衛隊においてもっとも苦しい立場にあるのではないでしょうか。

今、ワシが言えるのは 「めったなことで退職などしないでください」 ということです。そして、あまり真剣に考えないでほしいのです。真剣に考えることは大切ですが、物事には緩急というものがあり、いつも「急」なままでは成るものも成らず 「緩」が長いと起こるべきことも起こらないものです。時流に合った緩急の自在さが必要ではないかと想うのです。

今の日本は、食っていけるだけでもラッキーという時代になりつつあります。小舟どころか、ドロ船で大海に乗りだすような状況かもしれません。 ここらでひとつ 「雌伏の時」ということを考えてみませんか? 世の荒海に出るために実力を養いながら機会を待つ、これが雌伏です。

両手で自衛隊を握りしめていたのを、フッとチカラを抜いて放してみましょう。それは良くもあり悪くもあるのですが、あまり選択肢がない場合、やるなら積極的な気持ちで離れてしまうほうがよいかと想われます。

そして、残りの期間で自衛隊をしっかりと見つめ直し、メモを取り、定年になったら本でも書いてみたらいかがですか? 苦しい想いをした人ほど良い文が書けるものですよ。たとえばもし時間があれば、ワシは 「息子を自衛隊に入れたくない理由」 という本を書きたいです。

武士が武士であってはならない自衛隊、だから真の武士たちは去ってゆく・・・。

と、そんなイメイジをワシは持っているのです。出勤するのが、と殺場に引かれるような気持ちだというのは、職場で正論が通らず、まったく無駄で愚かしいことを皆で真剣にやり、口を挟むと上官が議論にもならない理由で脅しつけるからなのではないかと推察します。やる気があれば、あるほどに、このままでは神経症にかかるかもしれません。

だからいったん手放してみましょう。ワシも写真について真剣になりすぎて精神が変になり、フォトグラファーであることを手放してタクシーの運転手になったことから自分を再生させることが出来たという経験があります。これがワシの雌伏の時で、この時期に最もよく考え、社会を識ることができました。悪いことは言いません。他の公務員のお仲間さんたちのようにただ出勤して見ざる聞かざる言わざるの猿となって、、いや、そういう猿に化けて自衛隊と民間人の世の中とを比較し研究などしてみたらいかがでしょう。なあに、悪天候も晴天も長くは続かないものですよ。むしろ厳冬にあってこそ春の日が来るのを楽しみにできるわけですよ。長くなりましたが、これは他で頑張っている孤立した隊員、そして同じ境遇の警察官たちにも読んでほしくて書きました。サスライさんは孤独でありません。自衛隊にも警察にも、サスライさんのように悩んでいる隊員が大勢いますのでお互いに元気を出しましょう。


ひとつ時間を作って黒澤明の「生きる」を観てください。ワシはあれを観たのがきっかけで渡米作戦を鮮明なものにしたのです。それでなくとも公務員さん必見の映画ですよ。

                                                                                

                                








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コメント(1)

自衛隊の方も大変ですね。
本当に国の行く末を考えてのご発言と思います。
当方も某国家機関の一員として、よりよい国民生活向上へ努力していますが、現場を知らないマスコミや、政権運営能力が皆無に近い政治家に対する、バッシング、疑問や理不尽と戦っております。
まぁ、その為ついに昨年変調をきたし、現在投薬にて何とか正気を保っております(ホントに正気か?という話も・・・(笑
察するに、当方よりも年上のお方と推察しますが、イチローさんの言われるとおり「緩急」をつけないと、本当に必要とされる時に倒れてしまいます。
組織を少しでも良くしようと考える人が居るだけで、まだ救われる余地が有るとと思います。
何はともあれ、御身大切に。

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このページは、Ichiroが2009年11月23日 12:20に書いたブログ記事です。

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